僕のビジネス論

解説|10年前にサラリーマンを辞めて、創業時から今を振り返る

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今から遡ること10年前、
2007年5月31日に、私は九州朝日放送株式会社を退職しました。

直筆の退職願

直筆の退職願

退職の意思表示をしたのは同年3月6日(火)。
今でもその時の様子のメールが残っています。

当時を読み取ると、入社丸13年。
当時は本社のラジオ営業部で、結構な実績を積んでました。

その日。
北九州支社への人事異動が出たことが、直接的なきっかけでした。
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3月6日火曜日、突然北九州支社への内示を
口頭でもらったので、以下のことを考えました。

●場所への先入観や抵抗は全くないが、
社会人として考えた場合、現況よりも自分自身の
プレゼンスを高められる材料がなく、結果として
売上等で会社に対しても貢献ができそうにない

●ビジネスの規模が今より縮小するので
自身にプラスがなく魅力を感じられない。

●「支社の現状を回復して欲しい」という理由を
言われたが、自分の代わりにその支社より2名が
後任として入るという矛盾が全く理解できない

●3月に大学院を修了・卒業するので、いただいた
知識と人脈、発想を確実に使っていきたい

…といったことを諸々考え、内示を受けたその日に
退職を即断しました。
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同僚に送ったメールから抜粋(笑)

若いね。熱いね。いま46歳。
今日までサラリーマンでいて、いま辞めるか?と
問われたら・・・無理でしょうね。

今だから言える話ですが。

「辞める」っつー話は、一気に同業者に広まりました。
当日は同期入社のメンバーと非公式に飲む。

其の後、送別会を最初に開いていただいたのは、なんと百道浜の局(いわゆる競合)。
「これからよろしくな!」

その次は、渡辺通の局。(いわゆる競合)
「これからよろしくな!!」

それから、有給消化などの間、
九大ビジネススクールを修了したり、引き継したり、
あれやこれやあり、5月31日で退職。私を含め3名が退職しました。

退職金(明細)が水引入り

退職金(明細)が水引入り

悲しいかな。
たかだか200名程度の人数の会社でしたが、
退職の日にも当時の権藤社長は辞令交付に姿を見せず。
なんか、やるせなかったですね。

2007年8月29日に創業。今年で丸10年。
よく会社が維持できたと思います。
一説によると、丸10年会社が生き残る確率は6.3%。
(正確には、6月末が決算なのであと1か月ありますが)

10年前を思い起こすと悲喜こもごもでしたが、
今の仕事や経営マネジメントには大変な糧になっています。
創業を意識してから、起業するまでの1年半で考えたのは
ただひとえに「付加価値創造」でした。何をすれば世の中に受け入れられるのか?

私が退職した理由は、自分自身の感覚でしかありませんが、
マスメディアに入社した当時と比較して、明らかにメディアが世の中から
「受け入れられなくなった」と感じたからです。
同時に「会社(メディア)側も、世の中を受け入れなくなった」と感じたからです。

WEBやSNSの台頭や浸透を受け入れず。
ITリテラシや新産業を受け入れず。
当時のホリエモンやソフトバンク、楽天のことを思い出していただければ分かるかと。

正直、つらい気持ちになることが増えたからです。

あれから10年経ちました。
いま、福岡では他の地以上に、スタートアップがにわかに佳境です。

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私が危惧しているのは、その「空気」です。日本は何かにつけて「空気」で動きます。
「空気」はブームと言ってもいいかもしれません。

その「空気」をたきつけているのは「支援」という外堀です。
ただ、私自身10年前に独立してから一心不乱に仕事をしてきて分かったことは
外部環境にブームがなければ「支援」そのものは現れません。

そしてブームが去れば、すかさず「支援」なるものは消え失せたり、
存在を無視したり、下手すると意地悪をしたりしてきます。

私が創業したころ、インバウンドなんて言葉もなければ、外国(韓国)向けに
プロモ―ションと言ったところで、大した関心もなく、勝手にやれば?感が
回りに漂っていたのをよく覚えています。

2013年に安倍政権になり円安となって、外国人集客が増え出したら
今度はインバウンドだ!と回りが言いながらも、韓国は無視。

爆買いが消え、個人客の時代の到来だ、と言われ、ようやく今、
FIT市場の総括の中で、やっぱり韓国は固い市場だと言われているわけで。

まぁそう考えるとですね。
外部環境がブームになったころに、
当該市場へ、新たな起業家がベンチャーで新規参入しても遅いわけです。

いま私が知っている限りで、一心不乱にベンチャー企業を動かしている経営者は
「外部環境に踊らされず、自身で付加価値を造成し続けている」方が大勢を占めます。

付加価値造成とは社会貢献以外の何物でもなく、世の中の役に立っているかどうか?
その1点で判断できると考えます。

今、ちょっとでも起業を考えている方へ。
再度5つのチェックをお願いします

□(1)「起業」を「目的」にしていませんか?
□(2)「支援」を標榜する人に踊らされていませんか?
□(3)あなたが作ろうとする商品やサービスは「付加価値」があり、誰かの役に立ちますか?
□(4)あなたが作ろうとする商品やサービスは、他の解決策に取って代わるものですか?
□(5)ひょっとして「年齢」で起業を考えていません?若さゆえ。。。

アパホテルの社長が「不動産は買いたいときに買ってはいけない」と言っています。
不動産購入と起業、考え方は一緒です。
なぜなら創業者は「自社株」を買って持つから。

あなたの起業が、
世の中における付加価値創造の絶好のタイミングであるなら、実行あるのみです。

そうでないなら、サラリーマンをお勧めします。

そして。ベンチャー企業の、真なる支援者とは

(1)あなたの商品・サービスの購入者
(2)あなたの商品・サービスの購入者を紹介して下さる方
(3)あなたの会社へ直接金融で資金調達に関わったステークホルダー

そして

(4)自社の従業員・販売協力者

です。

口だけ出す人は支援者ではありません。
銀行は(2)の要素がない限り、支援者とは言えません。

創業するということは、経営者になることであり、
経営者になるということは、見極める(判断する)ということであり、
見極めるということは「判断基準を設ける」ということです。

youfuku

最後にもう一度確認です。

★人間関係を整理する基準を設ける覚悟を持ち、世のための付加価値造成をする強い意思がある人。

ぜひ起業してください。
私もお世話になったことが多数あるので、そういう方への支援は惜しみなく行います。
結果として「失敗」したとしてもです。

★このブログを読んで、起業に迷いがある人。

ぜひ起業しないでください。
そこに待っているのは、実行する前からわかっている「失敗」だからです。
その「失敗」は結論と言います。結果として失敗した人を世の中は救いますが、
実行する前から「結論」としてわかっていた「失敗」は、だれも助けません。

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コメント

  1. 糸瀬 努 より:

    松清さんこんにちは、
    私はあなたに一度しか会ったことしかありませんが貴方の深い深い気持ちと、先を深くよまれ脳に刺さりました。
    私も33歳から18年間会社を経営していました。
    海外輸入商品の卸売り、大手 ショッピングモールでのインターネット販売、韓国 免税店とも取引もしました。いろいろ大変でしたが他国をしると言う意味では良い経験です。

    今は携帯電話からのメールなので、短い文書になりましが。

    起業するにあたりハードルが下がり株式会社○○○○ 代表取締役 事業内容を尋ねたら アフリエート の会社 などでこちらも 、言葉が見つかりませんでしたが。 三度目には作詞家になりたい 稼いだ資金で、、、それはそれで思いが伝わりましたが?

    私は今は正社員サラリーマンですが、18年間の良い経験、悪い経験は、聞いてくれる人には伝えて行きます。

    今は第三章です。
    松清さん私の出身は対馬です。
    宜しくお願いします。

  2. 浦上 昭 より:

    会社を創業して27年が経過しました。これまで2度大きなピンチがありましたが、何とか乗り越えられました、その源泉は社員の協力にほかなりません。松清さんの言われる「付加価値」を持つことに全く異論はありませんが、ゴーイングコンサーンという視点で考えると、経営者の「真摯な言動」こそが大変重要かと思います。破産した企業の多くが、経営者の裸の王様です。社員の信頼こそ経営の要諦かと思います。

  3. 山崎 徹 より:

    株式会社G-7ホールディングス の 山崎 徹 です。読んで、感銘を受けました。ありがとうございます。お会いできることを楽しみにしております。

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