結構前から気になっていたことなのですが、
各種交通機関を利用していて、車内アナウンスなどでコメントされる言葉があります。
それが。。。
「本日も○○○(交通機関名)をご利用いただき誠にありがとうございます。」
という一文。
別に、そこまで不快感を感じる言葉でも何でもないんだけど。なんとなく気になっていた。
理由を述べる前に。。。
JR九州の特急に乗ったときの車内アナウンスは、どの場合も必ず
「きょうもJR九州の特急○○をご利用下さり、誠にありがとうございます。」
といいます。
何がどう違うのかというと、読んで字のごとく
「ご利用いただき。。。」と
「ご利用くださり。。。」の差だけ。
そこまで気にかけない人にしてみれば、どちらもそれなりに丁寧な言葉だと感じることかと思います。
でも僕には、そうは思えないのです。
「ご利用いただきありがとうございます」・・・(1)
「ご利用くださりありがとうございます」・・・(2)
(1)の表現の奥底には
「ぼくら(会社)」が「あなた(客)」から、ご利用を「いただいた」 。
だからありがとう!
という意味合いがあります。
一方(2)の表現の奥底には
「あなた(客)」が「ぼくら(会社)」を、ご利用「くださった」。
だからありがとう!
という意味合いがあります。
つまり「主体」「主語」「視点」が異なるのです。
まぁ客からしてみれば、どっちだっていいことかもしれませんが、
会社の経営方針をこの車内アナウンスから分析すると、当然のことながら
(2)の方が「顧客満足」を意識していると思うのです。
実際にJR九州がそこまで考えてこのアナウンスを考えているのかどうかは
知りませんが、きちんと考えているのなら、サービス業として
コンセプトがしっかりとしているなぁと思うわけです。
いつから意識しだしたか、僕自身もよく覚えていませんが
僕が社の看板を背負って書く文書もすべて、(2)の表現に徹しています。
それにしても。
中学校あたりの国語の授業でも、こういうことを教えてほしいもんだよなぁ。
ちなみに。
同じような文章表現の指導を以前の部署で、後輩の女性にしたことがある。
文章の添削を依頼されて、書き換えて理由を添えて説明した。
けど。
ほとんど理解していなかった模様。
はじめのうちは何度か書き換えをしたのですけど、
毎度毎度同じ書き方をするので、指摘自体をやめた。
それにしても何でだろうと、よくよく分析すると、
以前書いた、間違った文章だらけの書面のコピーペーストを結構
使っていたりしたのですな。
添削を。。。という前に
学ぶ態度や二度間違うまいと思う態度がないんじゃ、時間の無駄やな。
料理番組などで「教えて『いただく』のは○○先生です」というアナウンサーは、かなり減りました(タレントさんは、まだまだ)。さすがに間違いだと気づいたのでしょう。あるいは、テレビ局に指摘された方がいたのでしょうか?
実は私、「……いただきまして、ありがとう」は
「…くださって、ありがとうございます」
「…いただいて、感謝いたします」
などの表現にしようと去年からネット上で騒いでいますが、どうも認知されていないようですね。「いただく」を尊敬語と勘違いしているかのような表現が多いと感じます。
ippeichan さんが書かれているように、本文中の(1)の表現を、ご利用「いただいた」のが「会社(しゃべっている人)」だと考えずにに使っている人が多いと思われますね。
「ご利用いただいた」のが「自分」だから、「相手(客)」じゃなく「自分」の動作で「ありがとう」というのは、厳密にはおかしいと思います。
そこで、「いただく」を使ってしまったと気づいた場合、「ご利用いただいて感謝いたします」と言うようにしています。
と騒いでも、「あんまりカタイこと言うなよ」って相手にされませんが……。
上記コメントで「『いただく』を尊敬語と勘違いしているかの表現」としているのは、例えば、
「ご応募いただいた方の中から、抽選で○名様に……をプレゼント」
という使い方です。ご応募「いただいた」のは誰か? 考えれば、おかしいのは分かりますよね。