書評|映画「スーパーの女」 顧客満足って何だ?

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伊丹十三DVDコレクション スーパーの女
ジェネオン エンタテインメント (2005-09-22)
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いまさらですが。
改めてこのたび「スーパーの女」をDVDで見直してみた。

前は一作品として見ただけだったけど、今回は経営者という別の視点で
細かに見直してみたのです。

この映画は、本当に教材として使えるポイントが山のようにある。
およそサービス業に携わる者、そしてそれ以外にも生産に携わる者にも
考えさせられる点が多々あった。

今回とりわけ重要な要素として取り上げられているのは
顧客志向のマネジメントと、そのためのシステム構築マネジメント。
まさにバランススコアカードの内容を地でやってるようなもんだ。

さらに新規顧客開拓のためのマーケティング、商品陳列と導線演出、
そしてバックヤードの生産管理と在庫管理、極めつけは「売れる商品」を
第一に考えるマーケットインだったり、嘘・偽りを売らないコンプライアンスだったり
その内容は経営者が常に管理し続けなければならない重要な要素だらけ。

そして最終的には「人」を大切にし、モチベーションを上げ、ノウハウを
正しく部下に伝授し、全体の生産性と業務効率を向上させている
「人財」活用を描いています。なぜならその「人財」は他方で重要な
このスーパーの「顧客」でもあるから。「顧客」を大切にし満足させることは
これ即ち「従業員」はじめ「すべての人財」を大切にし満足させ、かつ
自信と誇りを持たせ、使命感を態度と仕事に表明させることなのです。
これをせずに、目先のコスト管理にこだわり、商品の質を落としてでも
売上を上げようとする伊東四朗が最後に惨めに描かれているのは、
巷にありがちなダメ経営者を、ものの見事に風刺しています。

本来はこのような人財活用を中心としたマネジメントを
経営者がせにゃいかんわけですが、津川雅彦ふんする
二代目ぼんぼんは、ぜんぜんそれができないので、宮本信子が
変わりに全体のマネジメントを知らず知らずやってのける…という
ストーリー展開になっているのが、ちと笑わせるポイント。

中でも僕にとって大変印象深かったのは、柴田理恵が売り物の
たらこおにぎりを食し「これ何か混ざってないか?」と訝り、製造元を
たずねるシーンがあった。食品加工の社長さんはそれを認め、
宮本信子の熱意に負けて、混ぜ物なしのおにぎりを作る。

再度顧客である女性たちが試食し、うまいとうなる。
そのときの食品加工会社の社長の言。

「食べてるお客さんの姿を見るのはこれが初めて」と。
ものすごーく重要なファクターだと改めて感じたのです。
この社長にとって、きのうまでの顧客は「スーパー」だったのが
きょうから「スーパーの客」になったわけですね。

エンドユーザーを意識する精神って、僕は本当に重要と思う。
つい先日も、とある業界の機器の展示会を拝見し、各メーカーが
作っている商品がすべて「エンドユーザーのため」の商品に
なっていないことを、すぐに感じ取ったことがありました。
業界全体が遅れている物的証拠が目の前に転がっていたのです。

ひどい話だ。

自分が作った物は、いったいいつどこでどうやって誰が消費するのか?
それを「意識しながらモノを作る」ことを続けないと、その商品からは
レゾンデートルが消え失せてしまいます。

「スーパーの女」という映画、今回はまったく笑えず真剣にメモを取りながら
見てしまった自分がちょっと切なかった。勉強になったけど。

ちなみに。
伊丹作品は、ほぼすべて見ております。
亡くなったのは返す返すも惜しいです。

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